2025年度(令和7年度)日本のAI×栄養政策最前線|国の戦略と制度設計

こんにちは、管理栄養士のはまなつです。皆さんは、日々の業務の中で、どのように住民の健康を支えていますか?

近年、少子高齢化や生活習慣病の増加といった課題が深刻化する中、健康・栄養政策の分野でもデジタル技術の活用が急速に進んでいます。国は「健康日本21(第三次)」や「医療DX」を推進し、データに基づいた効果的な栄養政策の実現を目指しています。特に、限られた人員と予算の中で業務を遂行する自治体や医療現場においては、AIやビッグデータなどのデジタル技術を活用した取り組みが不可欠となっています。

本記事では、国の栄養政策においてAIやデジタル技術がどのように活用されているかを解説しますが、まずは栄養政策の全体目標を確認しておく必要があります。令和6年度から始まった「健康日本21(第三次)」では、「誰一人取り残さない健康づくり」を理念に掲げ、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指しています。栄養・食生活分野では、バランスの良い食事の摂取増加、野菜・果物摂取量の改善、食塩摂取量の改善などが具体的目標として設定されています。これらの目標達成のための手段として、AIやデジタル技術の活用が位置づけられています。

以下、国のデジタル栄養戦略の全体像をわかりやすく解説し、データ連携の基盤整備、AI開発・実装への支援、栄養管理業務のDX推進まで、幅広い視点から最新の政策動向を紐解きます。さらに、これらの取り組みが、現場にどのような変化をもたらすのか、具体的な事例を交えながら考察していきます。

この記事でわかること

  • 健康日本21(第三次)における栄養・食生活分野の目標とデジタル技術活用の位置づけ
  • 栄養データ連携のためのインフラ整備政策と省庁間連携の現状
  • 栄養分野のAI開発・実装を促進する国の支援制度と研究開発の動向
  • 栄養管理業務のDX推進政策と専門職のデジタルスキル向上に向けた取り組み
  • デジタル栄養格差への対応策と包括的な栄養支援モデルの開発状況
  • 栄養×デジタルの将来展望と持続可能な発展に向けた課題
目次

国のデジタル栄養戦略の全体像

栄養・食生活政策の全体目標と重点領域

令和6年度から始まった「健康日本21(第三次)」では、「誰一人取り残さない健康づくり(Inclusion)」を理念に掲げています。栄養・食生活分野では、以下の具体的な目標が設定されています。

  • バランスの良い食事を摂っている者の増加(主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者の割合を50%に)
  • 野菜摂取量の増加(平均値を350gに)
  • 果物摂取量の改善(平均値を200gに)
  • 食塩摂取量の改善(平均値を7gに)

また、「健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブ」の推進も目標として掲げられており、登録都道府県数を令和14年度までに47都道府県とすることを目指しています。

これらの目標は「ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり」の視点からも整理されており、児童・生徒における肥満傾向児の減少、若年女性のやせの減少、低栄養傾向の高齢者の減少などが含まれています。

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目標項目現状値
(令和元年度)
目標値
(令和14年度)
適正体重を維持している者の割合60.3%66%
バランスの良い食事を摂っている者の割合50%
野菜摂取量281g350g
果物摂取量99g200g
食塩摂取量10.1g7g
地域等で共食している者の割合30%
「健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブ」に登録されている都道府県数0都道府県
(令和4年度)
47都道府県
利用者に応じた食事を提供している特定給食施設の割合70.8%75%
表1:健康日本21(第三次)栄養・食生活に関する目標(厚生労働省:健康日本21(第三次)推進のための説明資料より抜粋、著者作成)

栄養政策におけるデジタル技術活用の位置づけ

「健康日本21(第三次)」では「より実効性をもつ取組(Implementation)」の一環として、ウェアラブル端末やアプリなどのテクノロジーの活用も重要な要素として位置づけられています。

厚生労働省の医療DX推進計画においては、全国医療情報プラットフォームの構築が進められています。令和7年度予算では医療・介護分野におけるDXの推進等として49億円が計上されています。この中には、科学的介護推進のためのデータベースの機能拡充や、介護分野におけるテクノロジー開発・導入促進に向けた支援が含まれています。

医療DXの推進スケジュールでは、2025年までに電子カルテ情報も使用可能になる予定であり、医療情報の連携が進むことで、栄養管理の質向上にもつながることが期待されています。

また、経済産業省ではPHR(Personal Health Record)の推進を中心とした健康データ活用戦略を展開しています。PHRとは個人の健康記録のことで、健診データだけでなく、日々の食事や運動などのライフログと組み合わせることで、より効果的な栄養指導につなげることができます。

省庁間連携による栄養×デジタル政策の推進体制

栄養政策の推進は厚生労働省健康局が中心となっていますが、関係省庁との連携も重要です。2021年(令和3年)には「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」が、農林水産省・経済産業省・環境省・消費者庁との連携の下、厚生労働省健康局長の主催により開催されました。

この検討会では、「食塩の過剰摂取」「若年女性のやせ」「経済格差に伴う栄養格差」等の栄養課題を重大な社会課題として捉え、産学官等の連携・協働により、誰もが自然に健康になれる食環境づくりを展開することの重要性が議論されました。

この検討会の報告書を踏まえ、2022年3月に「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」が立ち上げられました。このイニシアチブは、健康関心度等の程度にかかわらず、誰もが自然に健康になれるよう、事業者による栄養面・環境面に配慮した食品の開発、販促、広報活動等を、産学官等が連携して推進することを目指しています。

産学官連携の主な取り組み分野として以下が挙げられます。

  • 食環境づくりに資する研究・データ整備の推進
  • 事業者のSMART形式の行動目標に関するPDCAプロセス支援
  • 産学官等の間における情報交換等の場・機会の設定
  • 国内外に向けた情報発信

栄養×デジタル推進のための予算配分と重点事業

令和7年度予算では、健康日本21(第三次)を推進するための予算として、「健康日本21(第三次)アクションプラン支援システム事業費」に149百万円が計上されています。また、「国民健康・栄養調査の実施」には1.8億円が計上されており、国民の栄養状態を把握するための基盤整備が進められています。

「健康日本21分析評価事業」(予算39百万円)では、調査データの詳細な分析・評価を国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所に委託して実施しています。この中には、健康日本21(第三次)に関する目標項目の分析評価や、都道府県格差縮小のための支援に資する分析評価なども含まれています。

また、令和6年度補正予算では「自治体検診DX推進モデル事業」として10億円が計上されており、マイナポータルを通じた受診案内や問診票の送付、マイナンバーカードの受診券としての利用などが進められています。

栄養分野の研究開発においても、厚生労働省の「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業」に5.8億円、「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業」に7.1億円が計上されており、AIやデジタル技術を活用した研究開発も進められています。

筆者の見解: 今後の展望として、これらの政策の連携がさらに進むことで、個人の栄養データとPHRを組み合わせたパーソナライズされた栄養指導や食生活支援が実現する可能性があります。特に、国民健康・栄養調査のデータ収集・分析手法の高度化により、より地域特性や個人特性に応じた栄養施策の展開が期待できるでしょう。

また、経済産業省のPHR推進と厚生労働省の医療DXの連携が進めば、医療・健康・栄養データの一体的な活用が実現し、より効果的な健康支援サービスが生まれる可能性があります。

さらに、省庁間連携の強化によって、農業データと栄養データの連携や、地域特性に応じた食環境づくりが進むと考えられます。フードテック技術と栄養政策の融合も、減塩食品や代替タンパク質の開発など、新たな可能性を開くでしょう。

栄養×データ連携のインフラ整備政策

前章では国の栄養戦略の全体像を見てきました。本章ではその基盤となるデータ連携のインフラ整備政策に焦点を当て、より具体的な取り組みを解説します。

マイナポータルを活用した健康・栄養データ連携の推進

マイナポータルは、個人の健康・医療情報を集約・管理するための重要なプラットフォームとして位置づけられています。経済産業省では、PHRサービス事業協会と連携して、ライフログデータ(食事、歩数・運動・活動量、睡眠など)の標準化を進めています。

医療DX推進本部が策定した工程表では、2025年には「全国医療情報プラットフォーム」が本格稼働し、電子カルテ情報を含む医療情報の共有が計画されています。これが実現すれば、医療機関で実施された栄養指導の情報も共有可能になることが期待されます。

国民健康・栄養調査のデジタル化と健康日本21(第三次)の分析評価

国民健康・栄養調査は、日本人の健康状態や栄養摂取状況を把握するための重要な調査です。令和7年度予算では、この調査の実施に1.8億円が計上されています。

また、「健康日本21分析評価事業」には39百万円が計上されており、この事業では調査データの分析を通じて効果的な栄養政策の立案に活かす取り組みが進められています。

今後の展望として、タブレット端末を用いた調査手法の導入や、クラウドを活用したデータ管理システムの構築、また、AIを使った高度なデータ分析技術を活用することで、調査の効率化と精度向上が図られるとともに、より迅速なデータ分析が可能になるでしょう。

PHRにおける栄養データの標準化と連携体制

PHR(Personal Health Record)サービスの普及に伴い、民間サービスと公的機関のデータ連携の枠組み構築が進められています。

2023年7月に設立されたPHRサービス事業協会(PSBA)では、業界ガイドラインの策定を進めています。特に、①データ標準化に向けた検討、②サービス品質確保に向けた検討、③ステークホルダー間の対話促進などが重点的に行われています。

PHRを活用した実証事業も計画されており、食事・睡眠・運動・美容等の日常生活の中で接点が多い領域においてPHRサービスを提供し、その活用可能性の検証が行われています。経済産業省の令和6年度予算および令和5年度補正予算には、「日常生活におけるPHRを活用したユースケース創出に向けた実証調査事業」が含まれており、食事・睡眠・運動・美容等の日常生活の中で接点が多い領域においてPHRサービスを提供し、その活用可能性の検証が計画されています。ています。

また、大阪・関西万博においても、PHRを活用したパーソナライズされた体験提供として、個人に最適化された食事メニューの提供などの実証が計画されています。

管理栄養士国家資格のデジタル管理システム構築

管理栄養士・栄養士の資格管理についても、デジタル化が進められています。令和7年度予算では、「管理栄養士国家試験費」として60百万円、「国家資格等情報連携・活用システム事業費(管理栄養士)」として11百万円が計上されています。

この取り組みは、マイナンバー制度を活用した「国家資格等情報連携・活用システム」の一環として進められており、管理栄養士・栄養士も含めた32資格を対象に、資格管理業務のデジタル化が行われます。令和6年度内に資格管理業務が先行開始される予定で、令和7年度以降には受験申請等の手続き(試験管理)のデジタル化も計画されています。

また、第14次地方分権一括法(令和6年6月19日公布)により、管理栄養士国家試験の受験資格についても見直しが行われました。具体的には、管理栄養士養成施設を卒業した者は、栄養士でなくても受験を可能とするよう制度が改正されました。

このようなデジタル管理システムの構築により、資格者情報の正確な把握や、地域ごとの人材配置の分析などが可能になり、栄養政策の基盤となる人材の効率的な活用が進むことが期待されています。

筆者の見解: 今後の展望として、これらのインフラ整備が進むことで、個人の栄養・食生活データの一元管理と活用が進み、より効果的な栄養指導や食生活支援が可能になると考えられます。特に、PHRサービスの普及と標準化が進めば、日々の食事記録と健診データ、医療機関での栄養指導記録などが連携し、個人の健康状態に応じたタイムリーな栄養アドバイスを受けられるようになるでしょう。また、管理栄養士資格管理のデジタル化により、資格保有者の就業状況の把握や地域ごとの専門家配置の最適化など、栄養人材の効率的な活用も期待できます。こうした取り組みが相互に連携することで、栄養・食生活分野におけるデジタルトランスフォーメーションが加速すると考えられます。

栄養分野の研究開発・実装に関する国の支援政策

前章では栄養データ連携のインフラ整備について解説しました。本章では、そうしたデータ基盤の上に構築される栄養分野の研究開発と実装を支援する国の政策について詳しく見ていきます。

AMEDにおける栄養・食生活関連研究開発プロジェクト

日本医療研究開発機構(AMED)は、健康・栄養研究開発の重要な推進機関として機能しています。令和7年度予算では、厚生労働省の「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業」に5.8億円、「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業」に7.1億円が計上されています。

AMEDでは、栄養・食生活に関連する研究開発として、以下のようなプロジェクトが進行しています:

  • 「将来の認知機能予測に基づくテーラーメイド行動変容プログラム開発」:個人の将来的な認知機能リスクを予測し、それに基づいた個別化された栄養・運動指導プログラムを提供するシステムの開発
  • 「MCIにおける認知機能低下を簡易に検知する機械学習モデルとセルフチェックアプリの研究開発」:軽度認知障害の早期発見と食事介入に活用するためのモデル開発
  • 「認知症予防を目指した多因子介入によるランダム化比較研究」(J-MINT):生活習慣病管理、運動、栄養、認知トレーニングの複合介入の効果を分析する大規模実証研究(約1000人規模)

これらのプロジェクトでは、栄養指導や食事記録の分析を通じて、より効果的な介入方法の開発が目指されています。

予防・健康づくりのためのヘルスケアアプリケーション開発支援

AMEDの「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業」では、non-SaMD(医療機器プログラムに該当しない)の健康アプリの実用化に向けた研究開発を支援しています。この事業では、循環器疾患、糖尿病、メンタルヘルスにおける一次予防、二次予防、三次予防を対象としたヘルスケアアプリの開発が推進されています。

研究開発(フィジビリティスタディ)に加え、実用化・ビジネスモデル構築の伴走支援も実施されています。この支援では、研究開発代表者は健康アプリ等の開発事業者であることが条件とされ、支援終了後3年以内に実用化(マネタイズ)を実現する計画が求められています。

ヘルスケアサービスの品質評価とエビデンス構築支援

ヘルスケアサービスの信頼性を確保するためには、科学的エビデンスに基づく品質評価が重要です。経済産業省では、「ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方」(平成31年4月策定、令和3年6月改訂)を示し、業界自主ガイドラインの策定を促進しています。

また、AMEDの「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(ヘルスケア社会実装基盤整備事業)」では、各疾患領域の医学会による指針の策定・普及を支援しています。この取り組みでは、栄養・食生活を含む非薬物的介入の科学的根拠を整理し、それに基づく指針の策定が行われています。

具体的には、高血圧学会、糖尿病学会、体力医学会、老年医学会、サルコペニア・フレイル学会、認知症関連6学会、産業衛生学会、動脈硬化学会、女性医学学会、循環器学会などが中心となって指針を策定しています。

データ駆動型栄養政策の研究開発推進

健康・栄養データの収集と分析技術の発展に伴い、データに基づいた栄養政策の立案・評価を支援する研究開発も進められています。

「健康日本21分析評価事業」では、国民健康・栄養調査等のデータを用いて詳細に分析し、より効果的な栄養政策の立案に活かす研究が行われています。この事業には令和7年度予算で39百万円が計上されています。

また、経済産業省の成果連動型支払(Pay for Success: PFS)の仕組みを活用した健康増進プログラムの開発・普及も進められています。これは、健康状態や食生活の改善などの成果に応じて報酬が支払われる仕組みです。

「PFS/SIB事業組成パック」として、①「大腸がん検診受診勧奨事業」と②「高齢者の社会活動参加事業」を対象に、事業組成に必要な標準化された情報やツールが整備されています。

さらに、民間事業者間のPFSスキーム(企業と健康保険組合のコラボヘルス)の発展的検討も行われており、企業、健保組合、サービス提供者の三者による連携モデルの構築が進められています。

筆者の見解: 今後の展望として、これらの支援政策を通じて、科学的エビデンスに基づいた栄養・健康分野のデジタルサービスが普及していくことが期待されます。AMEDのプロジェクトで開発される個別化された栄養・運動指導プログラムは、従来の画一的な健康指導から一人ひとりの健康状態や生活習慣に合わせたパーソナライズドな支援へと発展する可能性があります。

また、医学会による指針の策定は、根拠に基づくヘルスケアサービスの普及に貢献し、消費者が安心して利用できるサービス環境の整備につながるでしょう。機能性表示食品制度の信頼性確保の取り組みと合わせて、栄養・健康分野のデジタルサービスが科学的な根拠を持ちながら発展していく基盤が整いつつあると考えられます。

データ駆動型の栄養政策においては、国レベルと地域レベルの両方でのエビデンスに基づく取り組みが広がり、より効果的な健康増進施策の実施につながるでしょう。特に、PFSの仕組みは今後、栄養・食生活改善プログラムにも応用され、より効果的かつ持続可能な介入モデルの構築に貢献する可能性があります。

栄養管理業務のDX推進と人材育成支援

前章では栄養分野の研究開発・実装に関する支援政策を見てきました。本章では、栄養管理業務のデジタル化推進と、それを支える人材育成支援について解説します。

医療・介護施設における栄養管理業務のデジタル化支援

医療・介護分野のDX推進において、栄養ケアに関する情報の電子化・連携も進められています。令和7年度予算では、「科学的介護推進のためのデータベースの機能拡充」「介護分野におけるテクノロジー開発・導入促進に向けた支援の推進」などが計上されています。

特に、科学的介護推進のためのシステム(LIFE:Long-term care Information system For Evidence)では、介護サービスの質の評価・分析のためのデータが収集されており、現場へのフィードバックを通じたケアの質向上が図られています。

医療分野では、「全国医療情報プラットフォーム」の構築が進められており、2025年以降は電子カルテ情報も共有可能になる予定です。また、「オンライン資格確認等システム」を基盤とした診療情報等の共有に向けた取り組みも進められており、データの標準化や連携の推進が図られています。

こうした基盤整備により、医療機関や介護施設における栄養管理業務のデジタル化・効率化が進む環境が整いつつあります。

栄養ケア・マネジメントのデジタル化

栄養ケア・マネジメントのプロセス(スクリーニング、アセスメント、計画、実施、モニタリング、評価)においてもデジタル化が検討されています。「医療DX推進本部」が進める医療DXの一環として、医療情報の電子化や標準化が進められており、これにより施設間での情報連携がスムーズになることが期待されています。

科学的介護情報システム(LIFE)では、介護サービスの提供に関するデータが収集・分析されており、そのデータに基づくフィードバックが介護施設におけるケアの質向上に活用されています。栄養関連のデータも含まれることで、より科学的な根拠に基づく栄養管理の実践が可能になると考えられます。

こうした技術の現場実装に向けて、厚生労働省では様々な取り組みを行っており、現場のニーズに即した技術開発と導入支援が進められています。

栄養関連専門職のデジタルスキル向上のための教育・研修制度

栄養管理業務のDX推進のためには、それらの技術を活用できる人材の育成が不可欠です。管理栄養士・栄養士のデジタルスキル向上に向けた取り組みも強化されています。

厚生労働省では、「管理栄養士専門分野別育成事業」(委託先:日本栄養士会)を実施しており、高度な専門性を発揮できる管理栄養士の育成を図っています。特に2023年度からは、新たな専門領域として「公衆衛生専門管理栄養士(仮称)」の認定に向けた検討が行われています。

また、「管理栄養士・栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム」の活用支援ガイドや、食環境整備等のアプローチも含めて地域の栄養課題の解決を図る上で必要な知識や技術に関する教育プログラムも整備されています。

大学や養成施設における管理栄養士・栄養士の教育カリキュラムにおいても、データサイエンスやAI活用に関する科目が増えつつあります。

これらの取り組みを通じて、変化する社会環境やテクノロジーの進化に対応できる栄養専門職の育成が目指されています。

健康づくりにおける包括的アプローチ

栄養×デジタルの取り組みを進める上で重要な課題となるのが、デジタル栄養格差(ニュートリション・デジタル・ディバイド)への対応です。これは、年齢、地域、経済状況、デジタルリテラシーなどによって、デジタル技術を活用した栄養サービスへのアクセスや活用能力に格差が生じる問題です。

「誰一人取り残さない健康づくり」の理念に基づき、デジタル栄養格差への対応策を進めています。具体的には以下のような取り組みが行われています。

  • 高齢者や地方在住者など、デジタル技術へのアクセスや活用能力に課題がある層に配慮したインターフェース設計やサポート体制の整備
  • デジタルと対面を組み合わせたハイブリッドな栄養支援モデルの開発と普及
  • 地域の身近な場所(公民館、薬局、商業施設など)でデジタル栄養サービスを体験・利用できる環境の整備
  • 栄養ボランティアや食生活改善推進員などと連携した、デジタル栄養サービスの利用支援

特に重要なのは、デジタル技術の活用が目的化するのではなく、あくまで栄養状態の改善や健康増進という本来の目的を達成するための手段として適切に位置づけることです。そのためには、対象者の特性やニーズに応じて、デジタルと非デジタルの手法を柔軟に組み合わせたアプローチが重要です。

内閣府の「デジタル田園都市国家構想」では、地域の課題に応じた独自の取り組みに対してデジタル活用を支援する予算措置も行われています。例えば、中山間地域での遠隔栄養指導モデルの開発や、買い物弱者を支援するデジタル食環境整備などが進められています。

筆者の見解: 今後の展望として、医療・介護分野のDX進展に伴い、栄養管理業務においてもデータに基づいた科学的アプローチがより一層強化されていくと考えられます。全国医療情報プラットフォームの構築や電子カルテ情報の共有が実現すれば、医療機関間での栄養関連情報の連携が進み、切れ目のない栄養ケアの提供が可能になるでしょう。

また、栄養専門職の育成においては、従来の栄養学的知識に加えて、データ分析能力やデジタルツールの活用能力が重視されるようになると予想されます。「公衆衛生専門管理栄養士」のような新たな専門分野の確立を通じて、社会環境の変化やテクノロジーの進化に対応できる人材が育成されていくでしょう。

一方で、「誰一人取り残さない健康づくり」の理念を実現するためには、デジタル技術に親和性の高い層だけでなく、すべての人々に栄養サポートが届く仕組みづくりも重要です。地域の特性やターゲット層の特性に応じて、デジタルと対面を組み合わせたハイブリッドなアプローチが発展していくと考えられます。

「健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブ」の全国展開と、地域レベルでの取り組みの促進により、個人の努力だけに依存しない、社会全体で健康をサポートする環境が整備されていくことを期待します。このような包括的なアプローチこそが、健康格差の縮小と健康寿命の延伸に貢献するでしょう。

今後の展望:栄養戦略×デジタルの可能性

これまで、国のデジタル栄養戦略の全体像から、データ連携のインフラ整備、AI開発・実装、栄養管理業務のDX推進まで見てきました。本章では、これらの取り組みの将来展望について考察します。

個別最適化された栄養支援の実現に向けた課題と展望

今後の変化として期待されるのは、個人の健康状態、遺伝的背景、ライフスタイル、好みなどを総合的に考慮した、より個別最適化された栄養支援の実現です。これまでの栄養指導は、年齢や性別、疾患の有無といった限られた情報に基づくものでしたが、AIやビッグデータ解析など、データ活用の進展により、個人差を考慮したより精緻なアドバイスが可能になるでしょう。

AMEDの研究開発プロジェクトでは、「将来の認知機能予測に基づくテーラーメイド行動変容プログラム開発」など、個人の健康データに基づいた個別化された介入プログラムの開発が進められています。

しかし、こうした技術の実装にはいくつかの課題があります。まず、行政側・医療者側のAIリテラシー向上が不可欠です。どのような栄養分野にAIを活用すべきか、AIの出力結果をどう解釈し活用するか、という判断には専門的知識が必要です。AIやデジタル技術あくまでツールであり、最終的な判断は人間が行う必要があるという認識を持った人材育成が求められます。

また、個人情報保護やデータセキュリティの確保、アルゴリズムの透明性や公平性の担保なども重要な課題です。特に、栄養・食生活は文化的・社会的背景とも密接に関わるため、画一的な推奨が文化的多様性を損なわないような配慮も必要です。

栄養×デジタル人材の育成と職域の変化

AIやデジタル技術の発展により、栄養アセスメントの効率化、食事記録の自動解析、治療食の設計支援など、栄養管理業務の一部自動化が進む可能性があります。これにより、栄養士は患者・利用者とのコミュニケーションなど、より付加価値の高い業務に注力できるようになります。

また、栄養とデジタル技術を橋渡しできる新たな人材の需要も高まっています。こうした人材には、栄養学の専門知識に加えて、データ分析能力やデジタルヘルスの知識、行動変容理論などの複合的な知識・スキルが求められるでしょう。

管理栄養士専門分野別育成事業などの人材育成の取り組みが、こうした新しいスキルニーズにも対応していくことが期待されます。2023年頃から、既に一部の養成施設では、データサイエンス系科目をカリキュラムに取り入れています。他の大学や養成施設においても、カリキュラム改革、現任者向けの再教育プログラムの充実など、早期の対応が必要です。

データ駆動型の栄養政策と倫理的課題への対応

健康・栄養データの収集と分析が進むことで、より効果的な栄養政策の立案・評価が可能になるかもしれません。地域ごとの栄養課題をデータから把握し、科学的エビデンスに基づいた介入を設計することが期待されます。

特に、「健康日本21(第三次)」で掲げられた「より実効性をもつ取組(Implementation)」を実現するためには、データに基づくアプローチが不可欠です。「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」のような産学官等連携による食環境づくりの推進においても、データに基づく効果検証と改善のサイクルが重要になるでしょう。

しかし、こうしたアプローチには倫理的・社会的課題も伴います。データ収集における同意の取り方、プライバシー保護、セキュリティ対策など、多角的な視点からの検討が必要です。「誰一人取り残さない健康づくり」の理念に基づき、デジタル技術の活用によって新たな格差を生じさせないような配慮がなされるべきでしょう。

持続可能な栄養×デジタル政策の実現に向けて

栄養×デジタルの発展には、技術的課題だけでなく、制度的・経済的障壁も存在します。たとえば、AIやデジタル技術を活用した栄養指導の保険適用の問題や、初期投資・運用コストの負担をどうするかという課題があります。また、データの標準化やシステム間の相互運用性の確保も重要な課題です。

これらの課題を解決し、持続可能な栄養×デジタル政策を実現するためには、産学官民の連携が不可欠です。「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」に代表される産学官連携の取り組みは、健康に関心の薄い層も含め、誰もが自然に健康になれる環境づくりを目指しており、これにデジタル技術が貢献する余地は大きいと考えられます。

このような多様な課題に適切に対応しながら技術開発と社会実装を進めることで、栄養×デジタルは「食」を通じた健康長寿社会の実現に貢献できる可能性があります。特に、「個人の健康増進」「持続可能な社会保障制度」「経済成長」の調和的実現に向けて、この分野は重要性を増していくでしょう。

その中で管理栄養士・栄養士の役割も変化し、データリテラシーを備え、AIと協働しながら高度な栄養ケアを提供できる人材が求められるようになると考えられます。次の10年で、栄養×デジタルの領域は急速に進化し、私たちの健康と食生活に重要な変化をもたらすことが期待されますが、その速度や影響の範囲は、技術的可能性だけでなく、社会の受容性や制度的対応、そして何より人材育成の進展に大きく依存するでしょう。

栄養管理業務のDX推進に向けた政策的支援

栄養管理業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、業務効率化だけでなく、栄養ケアの質向上や人手不足対策としても重要です。本章では、国が進める栄養管理業務のDX推進に向けた政策的支援について詳しく解説します。

医療・介護分野のDX推進における栄養ケア

医療・介護分野のDX推進において、栄養ケアに関する情報の電子化・連携も重要な課題となっています。令和7年度予算では、「科学的介護推進のためのデータベースの機能拡充」「介護分野におけるテクノロジー開発・導入促進に向けた支援の推進」などが計上されています。

医療分野では、「全国医療情報プラットフォーム」の構築が進められており、2025年以降は電子カルテ情報も共有可能になる予定です。これにより、医療機関間での情報連携が強化され、より一貫性のある医療提供が可能になることが期待されています。

また、「オンライン資格確認等システム」を基盤とした診療情報等の共有に向けた取り組みも進められており、データの標準化や連携の推進が図られています。

管理栄養士・栄養士の育成に関する取り組み

管理栄養士・栄養士の資質向上に向けた取り組みも強化されています。令和7年度予算では、「管理栄養士等の資質確保」に関する予算が計上されています。

厚生労働省では、「管理栄養士専門分野別育成事業」(委託先:日本栄養士会)を実施しており、高度な専門性を発揮できる管理栄養士の育成を図っています。特に2023年度からは、新たな専門領域として「公衆衛生専門管理栄養士(仮称)」の認定に向けた検討が行われています。

また、「管理栄養士・栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム」の活用支援ガイドや、食環境整備等のアプローチも含めて地域の栄養課題の解決を図る上で必要な知識や技術に関する教育プログラムも整備されています。

日本栄養士会が実施した「管理栄養士・栄養士就業実態調査」(2022年)を踏まえた取り組みも進められており、実力や成果に見合った待遇の評価と改善が目指されています。

健康経営における技術活用の推進

健康経営優良法人認定制度においても、デジタル技術の活用が重視されています。令和7年度の健康経営度調査の改訂では、「PHRの活用促進」が新設されることとなりました。これは、従業員の健康データを本人にフィードバックする仕組みや、そのデータを活用した健康施策の実施を評価するものです。

また、「40歳未満の従業員に関する健診データの提供」も評価項目とされており、若年層からの健康リスク把握と早期介入の重要性が強調されています。

「健康経営ガイドブック」と「健康投資管理会計ガイドライン」の改訂版が策定される予定であり、新たな時代の健康経営の意義や効果検証等の在り方などが整理されます。

筆者の見解: 今後の展望として、栄養管理業務のDXは大きく進展すると考えられます。医療・介護DXの推進により、栄養関連データの標準化・連携が進み、施設間での情報共有がスムーズになることで、患者・利用者にとっても継続的で一貫性のある栄養ケアが受けられるようになるでしょう。また、管理栄養士・栄養士の育成においても、データ活用能力やデジタルリテラシーが重視されるようになり、新しい専門性を持った人材が育成されることが期待されます。健康経営の文脈でも、PHRの活用を通じた栄養・食生活支援が進むと考えられます。特に、AIやビッグデータ分析技術の発展により、個人の健康状態や食習慣に基づいたパーソナライズされた栄養ケアの提供が可能になるでしょう。こうした技術の発展は、栄養管理業務の効率化だけでなく、予防・健康づくりの観点からも大きな可能性を秘めています。

今後の展望:AIによる栄養戦略×デジタルの可能性

本記事では、国のデジタル栄養戦略の全体像から、データ連携のインフラ整備、AI開発・実装への支援、予防医療への応用、栄養管理業務のDX推進まで、栄養分野におけるデジタル化の現状と政策動向を解説してきました。ここでは、これらの取り組みを踏まえた中長期的な展望について、課題と可能性の両面から考察します。

個別最適化された栄養支援の可能性

今後の変化として期待されるのは、個人の健康状態、遺伝的背景、ライフスタイル、好みなどを総合的に考慮した、より個別最適化された栄養支援の実現です。これまでの栄養指導は、年齢や性別、疾患の有無といった限られた情報に基づくものでしたが、AIとビッグデータの活用により、個人差を考慮したより精緻なアドバイスが可能になる可能性があります。

ただし、こうした技術の実装には、行政側・医療者側のAIリテラシー向上が不可欠です。どのような栄養分野にAIを活用すべきか、AIの出力結果をどう解釈し活用するか、という判断には専門的知識が必要です。AIはあくまでツールであり、最終的な判断は人間が行う必要があるという認識を持った人材育成が求められます。

予防医療における栄養AIの役割と実装課題

予防医療の重要性が高まる中、栄養AIは生活習慣病予防やフレイル予防において重要な役割を果たす可能性があります。健診データなどから将来のリスクを予測し、そのリスクを低減するための食事介入を提案するAIの活用などが考えられます。

しかし、こうしたシステムの社会実装には、地域間の医療資源格差自治体の財政状況・IT環境の差という現実的な壁があります。先進的な自治体と遅れている自治体の間で「デジタル栄養格差」が生じないよう、段階的な導入戦略や自治体間の連携支援が必要でしょう。

医療・介護現場の栄養管理業務の変革と受容性

AI技術の発展により、栄養アセスメントの効率化、食事記録の自動解析、治療食の設計支援など、栄養管理業務の一部自動化が進む可能性があります。これにより、栄養士は患者・利用者とのコミュニケーションなど、より付加価値の高い業務に注力できる可能性があります。

一方で、医療・介護現場におけるAI導入には、技術の受容性という大きな課題があります。新技術に対する抵抗感や不安を和らげるためには、現場の声を取り入れた段階的な導入と、医療者・介護者向けの研修プログラムの充実が欠かせません。すでに一部の管理栄養士・栄養士の養成課程においては、AIやデータサイエンスの基礎を学ぶカリキュラムの整備がされつつあり、今後さらなる拡充が求められます。

データ駆動型の栄養政策と倫理的課題

健康・栄養データの収集と分析が進むことで、より効果的な栄養政策の立案・評価が可能になるかもしれません。地域ごとの栄養課題をデータから把握し、科学的エビデンスに基づいた介入を設計することが期待されます。

しかし、こうしたアプローチには倫理的・社会的課題も伴います。データ収集における同意の取り方、プライバシー保護、セキュリティ対策、さらにはアルゴリズムバイアスによる不公平な判断の可能性など、多角的な視点からの検討が必要です。こうした課題への理解と対応策を持った行政担当者の育成も重要な課題です。

多様な障壁への対応

栄養×デジタルの発展には、技術的課題だけでなく、制度的・経済的障壁も存在します。たとえば、AIを活用した栄養指導の保険適用の問題や、初期投資・運用コストの負担をどうするかという課題があります。また、データの標準化システム間の相互運用性の確保も重要な課題です。

特に「デジタルデバイド」の問題は深刻で、高齢者や低所得者層、地方在住者など、デジタル技術へのアクセスや活用能力に差がある層への配慮が必要です。技術の恩恵を社会全体に広げるためには、多様なユーザーに配慮したインターフェース設計や、デジタルと対面を組み合わせたハイブリッドなアプローチが求められるでしょう。

バランスのとれた発展に向けて

このような多様な課題に適切に対応しながら技術開発と社会実装を進めることで、栄養×デジタルは「食」を通じた健康長寿社会の実現に貢献できる可能性があります。特に、「個人の健康増進」「持続可能な社会保障制度」「経済成長」の調和的実現に向けて、この分野は重要性を増していくでしょう。

その中で管理栄養士・栄養士の役割も変化し、データリテラシーを備え、AIと協働しながら高度な栄養ケアを提供できる人材が求められるようになると考えられます。次の10年で、栄養×デジタルの領域は徐々に進化し、私たちの健康と食生活に重要な変化をもたらすことが期待されますが、その速度や影響の範囲は、技術的可能性だけでなく、社会の受容性や制度的対応、そして何より人材育成の進展に大きく依存するでしょう。

記事のまとめ

  • 国の栄養政策では「健康日本21(第三次)」を中心に、デジタル技術を活用した効果的な栄養施策の推進が図られている
  • マイナポータルを活用した健康データ連携やPHRサービスの標準化など、栄養データの連携基盤の整備が進められている
  • AMEDを中心に栄養分野のAI研究開発が推進され、個別最適化された栄養支援や効果検証の技術開発が進んでいる
  • 医療・介護DXの一環として栄養管理業務のデジタル化も進み、業務効率化と質向上が図られている
  • デジタル栄養格差への対応も重視され、ハイブリッドな支援モデルや地域特性に応じた取り組みが進められている
  • 栄養×デジタル人材の育成が課題となっており、教育・研修制度の充実や新たな職域の開発が期待されている
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この記事を書いた人

はまなつのアバター はまなつ 管理栄養士

大学病院で7年以上の臨床経験を持つ管理栄養士。栄養指導や栄養サポートチーム(NST)での活動を通じて、「続けられる栄養管理」の重要性を実感。AI技術を活用し、誰もが無理なく楽しく続けられる健康的な食生活を提案しています。予防医療の視点も取り入れながら、AIと栄養の未来について発信中。
YouTube、Stand FMでも情報発信しています!

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